広島への原爆投下の後の「黒い雨」を経験したという迫田勲さんは、85歳になって「被爆体験証言者」として踏み出した。これまでは証言者が話した内容をそのまま語り継ぐ「伝承者」として活動してきたが、今月からは自分自身の体験を伝える。突き動かすのは、ある親友の死だ。
広島平和文化センターから委嘱される「証言者」は平和記念資料館などで体験を語っている。迫田さんは今年度、その一員に加わった。爆心地から20キロ近く離れた旧安佐町(現・広島市安佐北区)の山間部の集落で育った。
1945年は国民学校の1年生だった。8月6日、屋外で作業をしていると、南の山が光った。やがて、爆音とともに風が吹いた。麦わら帽子が飛んだ人もいたという。
その日、雨が降った。迫田さ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル